ご飯屋さんのS様
以前働いていたデイサービスでの出来事です。
S様は、アルツハイマー型認知症で、傾眠がちに過ごされていました。
時折ふと目が覚めると、ここがどこかわからずにオロオロされて、「家に帰る。」と玄関から外に出ようとされます。その時も食事のために寝ているS様を起こした際に慌てて玄関に向かって靴を履こうとされました。
S様の家はレストランをされていて今は息子さんが継いでいますが、元気な時は朝早くから、下ごしらえを手伝っていたそうです。S様の両足には静脈瘤があり、忙しく働いてきた方なんだなぁと思いました。
認知症の利用者様が不穏になっている時は、なかなかこちらの話を聞いてもらえません、玄関から出て行こうとするS様をあの手この手で引き止めていた時に、「Sさんご飯食べましょう、今までたくさんの人のご飯作ってきたんでしょう、お腹一杯にしてあげたんでしょう、今度はSさんが食べる番ですよ。」と言いました。すると、「うまいこと言うね。」と言い食事の席についてくれました。
その他にも、「おいしいですよ。」などなど色々な言葉をかけていましたが、心に響かなかったようです。言葉を失いつつある認知症の方には特にその方の記憶に残っている言葉を探す事が大切なんだと気付いた出来事でした。
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